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適用先 openSUSE Leap 15.7

5 ネットワーク資源へのアクセス Edit source

概要

ネットワーク内の他のユーザとの間で、ファイルやディレクトリを共有する方法について説明しています。

お使いのデスクトップからリモートのホスト内にあるファイルやディレクトリ、サービスなどにアクセスすることができるほか、逆にネットワークに対してファイルやディレクトリを公開することもできます。 openSUSE® Leap には、このようなネットワーク資源へのアクセス機能や、ネットワーク共有の作成機能が用意されています。

ネットワーク参照

ファイルマネージャである GNOME Files を使用することで、ネットワーク内で共有されている資源やサービスを参照することができます。詳しくは 5.3項 「ネットワーク共有へのアクセス」 をお読みください。

混在環境でのディレクトリの共有

GNOME Files を使用することで、ネットワーク内の他のユーザに対してファイルやディレクトリを提供するよう設定することができます。言い換えると、任意の Windows や Linux のワークステーションのユーザに対して、データを読み書きできる機能を提供することになります。詳しくは 5.4項 「ディレクトリの共有」 をお読みください。

Windows ファイルの管理

openSUSE Leap は既存の Windows ネットワークに対しても、統合機能を提供しています。つまり、お使いの Linux マシンを Windows クライアントのように振る舞わせることができます。 Windows クライアントが行っているように、 Active Directory のドメインコントローラから全てのアカウント情報を取得することもできます。詳しくは 5.5項 「Windows ファイルの管理」 をお読みください。

Windows ネットワークプリンタの設定とアクセス

GNOME コントロールセンターを介して、 Windows のネットワークプリンタを設定することができます。詳しくは 5.6項 「Windows ネットワークプリンタの設定とアクセス」 をお読みください。

5.1 ネットワークへの接続 Edit source

お使いの環境からは有線ネットワークにも無線ネットワークにも接続することができます。現在のネットワーク接続を表示するには、トップバーの右側にあるネットワークアイコンを押してから 有線/無線 接続済み/未接続 を選択し、必要に応じて 接続 または オフにする を押してください。また、ここから詳細や設定を行うこともできます。

ネットワークへの接続について、詳しくは 第28章 「NetworkManager の使用 をお読みください。

5.2 ファイル共有とネットワーク参照に対する一般的な注意事項 Edit source

Windows 共有を検索する場合は SMB を使用し、リモートサービスを検索する場合は SLP を使用しますが、このネットワーク検索はいずれも、マシンからブロードキャストメッセージをネットワーク内の全てのマシンに送信して、その応答を待つことによって成り立っています。応答には利用可能な共有やサービスに関する情報が含まれていますので、これによって検索結果が得られることになります。

ブロードキャスト機能を動作させるには、お使いのマシンと問い合わせ先のマシンが同じサブネット内に存在していなければなりません。ネットワーク参照の機能が動作しない場合や、必要な共有やサービスが検出されない場合は、 同じサブネット内にコンピュータを配置していることをご確認ください。

ネットワーク参照を許可するには、お使いのマシン側でもいくつかのネットワークポートを開いて、ネットワーク側との間でメッセージを送受信できるようにする必要があります。

お使いのマシンで厳格なセキュリティの設定されたファイアウオールをお使いの場合は、 GNOME Files がその状態を検出して、ネットワークに対する問い合わせが許可されていない旨の警告を表示します。

5.3 ネットワーク共有へのアクセス Edit source

ネットワークに接続されたワークステーションは、特定のディレクトリを共有するよう設定することができます。通常はファイルやディレクトリにマークを付けて、リモートからのアクセスを許可します。このような仕組みを ネットワーク共有 と呼びます。お使いのシステムからネットワーク共有にアクセスできるように設定されていれば、ファイルマネージャを利用してそれらの共有に接続し、ローカルのマシンにあるファイルと同様に、簡単にアクセスすることができます。なお、共有されているディレクトリのアクセスレベル (読み込み専用か、書き込みも許可するか) は、共有を提供しているコンピュータ内でのアクセス権とは独立して動作します。

ネットワーク共有にアクセスするには、 GNOME Files を開いたあとサイドバー内の 他の場所 を選択します。すると GNOME Files 内にアクセス可能なサーバとネットワークが表示されますので、あとはサーバやネットワークを選んでダブルクリックしてください。なお、相手側の設定によっては、ユーザ名とパスワードの入力を求められることがあります。一般的には、 SFTP (SSH ファイル転送プロトコル) でアクセスできるリソースと、 Windows の共有にアクセスすることができます。

ネットワークファイルブラウザ
図 5.1: ネットワークファイルブラウザ
手順 5.1: ネットワークの場所の追加
  1. GNOME Files を開いてサイドバー内の 他の場所 を選択します。すると下のほうに サーバーへ接続 のテキストボックスが表示されます。

  2. サーバのアドレスを入力します。

  3. 接続 を押します。

5.4 ディレクトリの共有 Edit source

企業環境では、文書の共有や交換は必須の機能となります。 GNOME Files ではファイル共有の機能を提供し、 Linux と Windows の両方のユーザに対して、ファイルやディレクトリを公開することができます。

5.4.1 コンピュータ内の共有の有効化 Edit source

ディレクトリの共有を行う前に、まずはコンピュータ内で共有を有効化しなければなりません。共有を有効化するには YaST を使用するか、もしくは Samba の設定ファイルに項目を追加します。

5.4.1.1 YaST での共有の有効化 Edit source

  1. アクティビティ オーバービューから YaST を起動して、 root のパスワードを入力します。

  2. ネットワークサービス の分類内にある Windows ドメインメンバーシップ を選択します。

  3. ユーザにディレクトリの共有を許可する を選択してから、 OK を押します。

これで、お使いのコンピュータに共有を作成できるようになります。

5.4.1.2 Samba の設定ファイルを編集して共有を有効化する方法 Edit source

  1. 端末 を起動します。

  2. root で設定ファイル /etc/samba/smb.conf を開きます。

    具体的には、下記のコマンドを実行します:

    sudo vi /etc/samba/smb.conf
  3. 編集を行うには、 I キーを押します。

  4. [global] のセクション内に下記の項目を追加します:

    usershare max shares = 100
  5. ファイルを保存してエディタを終了します。

これで、お使いのコンピュータに共有を作成できるようになります。

5.4.2 設定ファイルを介したコンピュータ上のファイル共有の有効化 Edit source

ディレクトリの共有を行う前に、まずはコンピュータ内で共有を有効化しなければなりません。共有を有効化するには、下記の手順を実施します:

  1. メインメニューから YaST を起動します。

  2. root のパスワードを入力します。

  3. ネットワークサービス の分類内にある Windows ドメインメンバーシップ を選択します。

  4. ユーザにディレクトリの共有を許可する を選択してから、 OK を押します。

5.4.3 ディレクトリに対する共有の有効化 Edit source

特定のディレクトリに対して共有を設定するには、下記の手順を実施します:

  1. GNOME Files を開きます。

  2. ディレクトリの上でマウスの右ボタンを押し、 プロパティ を選択して 共有 を選択します。

    共有のオプション
  3. このフォルダーを共有する を選択します。

  4. 他のユーザに対してディレクトリへの書き込み権限も与えたい場合は、 このフォルダー内でのファイルの作成・削除を他のユーザに許可する を選択します。また、アカウントを持たないユーザのアクセスを許可する場合は、 ゲストによるアクセス を選択します。

  5. 共有を作成 を押します。

  6. 共有するためのアクセス権が不足している場合は、その旨を表すダイアログが表示されます。この場合は、 アクセス権を自動的に追加する を押してください。

ディレクトリのアイコンが変化し、共有されていることがわかるようになります。

重要
重要: Samba ドメイン参照とファイアウオールルールについて

Samba によるドメインの参照を行うには、お使いのシステムのファイアウオール側を設定する必要があります。ファイアウオール機能を完全に無効化するか、もしくはインターフェイスを内部ゾーンに割り当ててください。

5.5 Windows ファイルの管理 Edit source

openSUSE Leap を Active Directory のクライアントとして使用する場合、 Windows サーバ内にあるデータを参照もしくは表示したり、編集したりすることができます。主な使用方法を下記に示します:

GNOME Files を利用した Windows ファイルの参照

GNOME Files ネットワーク参照機能を利用することで、 Windows のファイルを参照することができます。

GNOME Files を利用した Windows 内のデータの表示

GNOME Files を使用することで、 Windows のディレクトリ内にあるファイルの内容を、 Linux ディレクトリと同様に表示することができます。もちろん Windows サーバ内に新しいファイルやディレクトリを作成することもできます。

GNOME アプリケーションからの Windows データの編集

多くの GNOME アプリケーションは、 Windows サーバ内のファイルを開いて編集し、 Windows サーバ内に保存する機能を備えています。

シングルサインオン

GNOME Files を含む GNOME アプリケーションでは、シングルサインオンの機能に対応しています。そのため、他の Windows リソースにアクセスする場合も、再認証を設定する必要はありません。シングルサインオンの機能は Web サーバのほか、プロキシサーバやグループウエアサーバ (例: Microsoft Exchange*) に対して設定することができます。認証にかかわる全ての処理は、ログイン時に入力したユーザ名とパスワードを使用して、裏で自動的に行われます。

GNOME Files を利用して Windows のデータにアクセスするには、下記の手順を実施します:

  1. GNOME Files を開いて、ナビゲーションペイン内にある 他の場所 を選択します。

  2. Windows ネットワーク をダブルクリックします。

  3. 目的のコンピュータの含まれるワークグループをダブルクリックします。

  4. さらにコンピュータのアイコンを選択します。ここでは、必要に応じて認証を求められる場合があります。あとはコンピュータ内の共有を選択します。

GNOME Files を利用して Windows のユーザディレクトリ内にサブディレクトリを作成したい場合は、 Linux 内でディレクトリを作成する場合と同じ手順を実施してください。

5.6 Windows ネットワークプリンタの設定とアクセス Edit source

企業内のネットワークに接続している環境で、 Windows の Active Directory サーバに対して認証を実施している場合、プリンタなどの企業内リソースにアクセスすることができます。 GNOME では、 Linux クライアントから Windows のネットワークプリンタに対して、接続を行う機能を提供しています。

Windows ネットワークプリンタを Linux ワークステーションから使用するには、下記の手順を実施します:

  1. まずは CUPS 印刷サービスを起動し、およびシステムの起動時に自動的に開始されるよう設定します:

    > sudo systemctl enable cups.service
    > sudo systemctl start cups.service
  2. デスクトップでマウスの右ボタンを押し、 設定 を選択してからプリンター を選択します。

  3. 右上にある ロック解除 のボタンを押し、表示されたダイアログに root のパスワードを入力します。

  4. 追加 ボタンを押します。

  5. Samba 経由で接続されたプリンタを選択します。

上記までの手順で設定した Windows ネットワークプリンタから印刷を行うには、一覧からプリンタを選択して印刷するだけです。

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