本章では、 Xen ベースの仮想化環境を構築したり管理したりするにあたって、あらかじめ理解しておくべきコンポーネントや技術を、紹介および説明しています。
Xen ベースの仮想化環境は、下記のようなコンポーネントから構成されます:
Xen ハイパーバイザ
Dom0
任意の数の VM ゲスト
仮想化を管理するためのツール/コマンド/設定ファイル
また、これらのコンポーネントを動作させている物理コンピュータを総称して、 VM ホストサーバ と呼びます。これは、仮想マシンの提供者 (ホスト) を構成しているためです。
Xen ハイパーバイザは、仮想マシンモニタと呼ばれることもありますが、仮想マシンと物理ハードウエアとの間を、低レベルな (ハードウエアに近い) 範囲で仲介するオープンソースのソフトウエアプログラムです。
仮想マシンホストの環境で、 Dom0 や制御ドメインと呼ばれます。 Dom0 は下記のようなコンポーネントから構成されています:
openSUSE Leap では、仮想マシンホストのコンポーネントや仮想マシン自体を管理するためのグラフィカルおよびコマンドラインの環境が提供されています。
「Dom0」 の用語にあるとおり、これは管理環境を提供する特殊なドメインです。グラフィカル環境でもコマンドラインモードでも動作させることができます。
xenlight ライブラリ (libxl) をベースにした xl ツールスタック。 Xen のゲストドメインを管理する際に使用します。
QEMU は完全なコンピュータシステムを擬似するオープンソースソフトウエアで、プロセッサやさまざまな周辺機器を擬似することができます。オペレーティングシステムを完全仮想化もしくは準仮想化のいずれかで動作させる機能を提供します。
Xen ベースの仮想マシンは VM ゲスト や DomU と呼ばれることもありますが、これは下記のコンポーネントから構成されるものです:
起動可能なオペレーティングシステムを含む 1 台もしくは複数台の仮想ディスク。仮想ディスクはファイルベースのほか、パーティションベースやボリュームベース、もしくはその他のブロックデバイスをベースにすることもできます。
ゲストドメインごとの設定ファイル。これはテキストファイル形式で、 man 5 xl.conf
で表示することのできるマニュアルページで書式が説明されているものです。
1 つもしくは複数のネットワークデバイス。制御ドメインが提供する仮想ネットワークに接続します。
GUI ツールやコマンド、設定ファイルなどの仕組みにより、お使いの仮想環境を管理したりカスタマイズしたりすることができます。
下記の図は仮想マシンホストの中に 4 台の仮想マシンが存在する場合の例です。 Xen ハイパーバイザ (Hypervisor) は物理ハードウエアプラットフォーム (Physical Machine) 上で直接動作しています。なお、制御ドメイン (Virtual Machine Host Server) も仮想マシンそのものですが、通常の仮想マシンの機能に加えて、管理作業を実施できる機能が与えられていることに注意してください。
一番左には Dom0 の仮想マシンホストが描かれ、こちらでは openSUSE Leap オペレーティングシステムを動作させているものとします。真ん中の 2 台の仮想マシンは準仮想化 (Paravirtualized) の OS を動作させていて、右側では何も変更を加えていない (Unmodified) オペレーティングシステム (Microsoft Windows や Microsoft Windows Server など) を動作させています。