21 QEMU ゲストエージェント #Edit source
QEMU ゲストエージェント (GA) は VM ゲスト 内で動作するもので、 VM ホストサーバ から libvirt を介して、ゲスト側でコマンドを実行するための仕組みです。この仕組みでは、ゲスト側のファイルシステムに関する情報やファイルシステムの一時休止／再開、ゲストの一時停止や再起動などを行うことができます。
QEMU GA は qemu-guest-agent パッケージ内に含まれています。このパッケージは、 KVM の仮想マシン環境を設定していれば、既定でインストールおよび設定、有効化までが行われます。
QEMU GA は Xen 仮想マシンでもインストールされますが、既定では有効化されません。また、 Xen 仮想マシンでも使用することができますが、 KVM 仮想マシンのような libvirt との統合機能は提供されていません。 QEMU GA を Xen で使用する場合は、 VM ゲスト の設定でチャンネルデバイスを追加しなければなりません。チャンネルデバイスは VM ホストサーバ 側の Unix ドメインソケットで、 QEMU GA との通信に使用するチャンネルです。
<channel type='unix'> <source mode='bind' path='/example/path'/> <target type='xen' name='org.qemu.guest_agent.0'/> </channel>
21.1 QEMU GA コマンドの実行 #Edit source
QEMU GA には、 libvirt では直接提供していない多数の組み込みコマンドが提供されています。完全な一覧については 21.4項 「さらなる情報」 をお読みください。また QEMU GA のコマンドは、 libvirt の汎用コマンド qemu-agent-command を利用して実行します:
virsh qemu-agent-command ドメイン名 '{"execute":"QEMU_GA_のコマンド"}'たとえば下記のようになります:
>sudovirsh qemu-agent-command sle15sp2 '{"execute":"guest-info"}' --pretty { "return": { "version": "4.2.0", "supported_commands": [ { "enabled": true, "name": "guest-get-osinfo", "success-response": true }, [...]
21.2 QEMU GA を必要とする virsh のコマンド #Edit source
virsh のコマンド内にも、実行するにあたって QEMU GA の機能を必要とするものがあります。下記にそれらのうちのいくつかを示します:
virsh guestinfoゲスト側の観点で、ゲストに関する情報を表示します。
virsh guestvcpusゲスト側の観点で、仮想 CPU の状態を問い合わせたり、設定を変更したりすることができます。
virsh set-user-passwordゲスト内のユーザアカウントに対して、パスワードの設定を行います。
virsh domfsinfo動作中のドメイン内で、マウントされているファイルシステムの一覧を表示します。
virsh dompmsuspend動作中のゲストを一時停止します。
21.3 libvirt コマンドの拡張 #Edit source
ゲスト内で QEMU GA が有効化されていれば、エージェント モードで動作させることで、様々な機能を提供する多数の virsh サブコマンドを実行することができるようになります。下記の一覧には、それらのうちのいくつかの例を示します。完全な一覧を読みたい場合は、 virsh のマニュアルページにて agent で検索を行ってご確認ください。
virsh shutdown --mode agentおよびvirsh reboot --mode agentこのサブコマンドを実行すると、次回以降のゲスト実行時に障害を発生させたりすることのないよう、適切なシャットダウンもしくは再起動を行うことができます。これは ACPI でのシャットダウンや再起動と似ています。
virsh domfsfreezeおよびvirsh domfsthawゲストに対してファイルシステムの一時休止を指示します。これにより、キャッシュ内に残っている全ての I/O 操作を完了させ、ボリュームの一貫性が保たれた状態になります。そのため、再マウント時にファイルシステムのチェックが不要となります。
virsh setvcpus --guestゲストに割り当てている CPU の数を変更します。
virsh domifaddr --source agentQEMU GA に対して、ゲスト側の IP アドレスを問い合わせます。
virsh vcpucount --guestゲスト側の観点で、仮想 CPU の数に関する情報を表示します。
21.4 さらなる情報 #Edit source
QEMU GA で提供している全てのコマンドの一覧については、 https://www.qemu.org/docs/master/interop/qemu-ga-ref.html をお読みください。
virshのマニュアルページ (man 1 virsh) には、 QEMU GA インターフェイスを利用することのできるコマンドの説明が示されています。