Linux では認証処理に際して PAM (Pluggable Authentication Modules; プラグインを使用することのできる認証モジュール) を利用し、ユーザとアプリケーションとの間の仲介を行っています。 PAM のモジュールはシステム全体に対して提供されているため、様々なアプリケーションから利用できるようになっています。本章では、このようなモジュール型の認証機構の動作と、設定方法について説明しています。
ネットワーク内に複数の Unix システムが存在していて、共通のリソースを使用するように設計している場合、それらの Unix システムでは同じユーザおよびグループの識別子を使用する必要が生じます。また、ネットワークはユーザにとって透過的な存在であるため、使用している Unix システムによって環境が異なるべきではありません。このような要件に対応するため、 NIS と NFS のサービスを併用する環境をお勧めします。
NIS (Network Information Service) はデータベースのようなサービスであり、ネットワークを介して /etc/passwd
, /etc/shadow
, /etc/group
の内容を提供することができます。 NIS はそれ以外の目的 (たとえば /etc/hosts
や /etc/services
などのファイルで設定する項目の提供など) にも使用することができますが、本章では説明を行っていません。また、 NIS は YP (「Yellow Pages」 、いわゆる電話帳) としても知られています。
Kerberos は認証時に使用するプロトコルですが、 LDAP は認可と識別を行うためのプロトコルです。両方を組み合わせて使用することもできます。 LDAP に関する詳細は 第5章 「389 Directory Server を利用した LDAP サービス」 を、 Kerberos に関する詳細は 第6章 「Kerberos を利用したネットワーク認証」 をそれぞれお読みください。
軽量ディレクトリアクセスプロトコル (Lightweight Directory Access Protocol (LDAP)) は情報ディレクトリへのアクセスや管理に使用するプロトコルです。 LDAP はユーザやグループのほか、システム設定の管理やアドレスの管理などにも使用することができます。 openSUSE Leap 15.7 では、 389 Directory Server が提供する LDAP サービスを使用することができます。これは従来の OpenLDAP の代替として提供されているものです。
Kerberos は暗号化の機能も提供するネットワーク認証プロトコルです。本章では Kerberos の設定方法のほか、 LDAP や NFS のようなサービスとの統合方法について説明しています。
Active Directory* (AD) は LDAP, Kerberos などのサービスを組み合わせたディレクトリサービスです。 Microsoft* Windows* で使用されているサービスで、リソースやサービス、ユーザの管理などを行っています。 Microsoft Windows ネットワーク内では、 Active Directory はこれらのオブジェクトに対する情報提供のほか、オブジェクトへのアクセス制限、ポリシーの強制などを行っています。 openSUSE® Leap では、 Active Directory ドメインへの参加のほか、 Linux マシンを Windows 環…
RADIUS (Remote Authentication Dial-In User Service; リモート認証ダイヤルインユーザサービス) プロトコルは、ネットワークへの接続を管理するための標準的なサービスです。認証/認可/アカウンティングの各機能 (AAA と略します) を、インターネットサービスプロバイダや携帯電話網のキャリアのような大規模ビジネスから、小規模なネットワークに至るまで、様々な環境に向けて提供しています。このプロトコルはユーザやデバイスを認証し、特定のネットワークサービスに対する認可を与え、課金や監査のための使用状況の監視を行います。もちろん AAA 全ての機能を使用す…